最新号 2008年 4月10日号

- 宇多田ヒカル
「(アルバム全体としては)晴れ晴れとした気持ちで作れた。すごく潔い感じが出てると思う。これが今の私。小気味いいアルバムになったかな」 1年9か月ぶりとなる待望の5thアルバム『HEART STATION』について、宇多田ヒカルはこうコメントした。前作『ULTRA BLUE』以降に発表されたシングルからも伝わってくるように、今作はシンプルな楽曲が多い。人と人の心の距離を独特の感性でとらえた「Beautiful World」。大ヒットとなり、幅広い層に受け入れられたことで「すごく認知されて、新しいファンもできてっていうのはやっぱり嬉しいもんだなぁと思ったな」と語る「Flavor Of Life」(今作にはバラードver.とオリジナルver.の2曲を収録)。“なんにも心配ないわ”と優しく語りかけるように歌い、女性らしい柔らかな包容力を感じさせる「Stay Gold」。きらめくような躍動感に満ちた「Kiss & Cry」。そして、「自分の原点というか、素直なところをさらけ出して、素直な曲づくりができていったから、これはやっぱり入れなきゃ辻褄が合わないだろうみたいな」思いがあった「ぼくはくま」。アルバム・タイトルにもなっている「HEART STATION」については「曲調とかメッセージをシンプルに分かりやすくするといっても別に曲に対してレベルを下げるんじゃなくて、ただ意味を広くしただけかな。そういう意味では(アルバムの曲の中でも)すごく広い作品になったかな」とコメントする・・・。 - 東京スカパラダイスオーケストラ
デビュー19年で13枚目のニュー・アルバム。「スカ」というたった一つの、しかし強力なスタイルを愛し、常に前進させてきた東京スカパラダイスオーケストラの歴史は、まさに日本にスカという魅力的な音楽が根づいてゆく過程そのものであった。「ビートとかリズムということではなくて、精神的な意味ですね。もともとのスカがほんとに一瞬で、60年代に5年続いたか続かなかったか、というくらいの間に終わってしまったんですけど。それから40 年以上たって、今スカが進化したらどうなるのか?という、そういう気持ちはなんとなくありますね。そういうものの僕らなりの答えが、いろんなバリエーションになってると思います」(川上つよし/B)「まだまだ、やれることは無限にあるんじゃないかな。言葉と同じですよ。“このワード、前に一回使ったな”と思ったからもう使えなくなるということじゃなくて、書き方だったり、何行目に置くかだったり、全体にテーマだったり、それによって変わりますから」(谷中敦 /B.Sax) 2006年6月にリリースした前作『Wild Peace』から約1年半。その間に、エイベックス移籍後の音源を集めたベスト盤『BEST OF TOKYO SKA 1998-2007』と、国内外のツアーに密着したロード・ムービー『SMILE~人が人を愛する旅~』を制作するなど、バンドとして一つの区切りをつけた後の新たなるチャレンジとして、これまで以上に様々なアイディアを詰め込んで作られたのがニュー・アルバム『Perfect Future』だ・・・。 - EXILE
EXILEの勢いが止まらない。道なき道を切り拓き、前人未到の活躍ぶりでJ-POPシーンを席巻中なのである。常に時代の波とシンクロしながら繰り広げるヴォーカル&ダンス・パフォーマンスと、並々ならぬエンタテイメント精神で私たちを楽しませてくれるEXILEだが、昨年からその活動スピードはぐんぐん加速している。新パフォーマーAKIRA、新ヴォーカリスト TAKAHIROを加えた7人編成となり、第2章の幕開けを告げるべく、アルバム『EXILE EVOLUTION』をリリース。このアルバムは“進化” とタイトルに冠したとおり、着実に進化を遂げてきたことを証明するハイクオリティな内容となった。この作品を引っさげ、全国10ヶ所24公演35万人を動員した全国ツアーも大成功。ツアー最終日となる東京ビッグサイト公演では、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ! いい意味でヤバイっすオカザイルスペシャル』の企画で、ナインティナインの岡村隆史が加わった期間限定ユニット“オカザイル”でのステージも記憶に新しいところだ ・・・。 - 木村カエラ
なんかスゲーとこ突いてきたなと思った。アルバム1曲目の「NO IMAGE」、これってまるでP.I.L(. PUBLIC IMAGE LIMITED)!それでタイトルが「NO IMAGE」か。オープニングからこんな音が飛び出してくれば驚きますって。そして、このアルバムの価値(勝ち)は決まったようなもんだ。木村カエラの活動スタンスの軽やかさはなかなか真似できるものではない。モデル出身でキャッチーなロックを歌って歌手デビュー。ここまでならよくある話。3枚目のシングル「リルラリルハ」が本人も出演したVodafoneのCMソングに使われて大ブレイク。會田茂一が作った個性的な曲とカエラ自身が作詞した「リルラリルハ」という不思議な語感は、一気に<アーティスト>木村カエラという存在感を高めた。そして、映画『カスタムメイド10・30』の主演に抜擢。奥田民生の弾き語りライヴ「ひとり股旅スペシャル@広島市民球場」のドキュメントを撮るはずが青春映画になってしまったこのハプニングが、民生とカエラを結びつけた。4枚目のシングル「BEAT」は民生の手による楽曲で、カエラは落ち着いたアルトヴォイスで淡々と、しかし熱くこの曲を歌い上げた。この曲はある種のエポックだったと思う。この後リリースする曲は<耳馴染みはいいのに何かヘン>という曲が増えていく。その中心には必ずカエラの声があった。その存在感が買われたのだろう。2006のサディスティック・ミカ・バンドの再々結成ではヴォーカルに大抜擢された。この時「キリンラガービール」CMで「タイムマシンにお願い」を歌ったのを覚えている人は多いだろう。その後、シングル「Snowdome」と3rdアルバム『Scratch』が大ヒット。カエラの個性はシーンに完全に浸透した・・・。 - HIGH and MIGHTY COLOR
聴いたあとも歌声やフレーズの印象がずっと心に残るバンドだ。ハイカラことHIGH and MIGHTY COLOR。“傲慢(=HIGH and MIGHTY)”という、ある種、確信犯的な言葉をバンド名に冠した彼らだが、それは自分たちのサウンドに対する自信の表れでもあり、なんだか潔くていいなあと思う。パワフルな男女ツイン・ヴォーカルに、7弦ツインギター、5弦ベース、2バスドラムによるヘヴィなロック・アンサンブルが織り成すエモーショナルなミクスチャー・サウンドが待ち味。とりわけ、ハイカラの華であるマーキーの、少女と大人を行き来するヴォーカルが絶妙なスパイスとなって、唯一無二のオリジナリティを確立している。 2007年のハイカラは、怒涛のリリース・ラッシュとなった。マーキー主演の映画『あなたを忘れない』の主題歌「辿り着く場所/オキザリス」に始まるシングル3枚とオリジナル・アルバム1枚、さらにはメジャー・デビュー3周年を記念した初のシングル・コレクション『10 COLOR SINGLES』。今年に入ってからも、両A面シングル「フラッシュバック/木漏レビノ歌」を発表するなど、その勢いはとどまることを知らない・・・。 - JADE
アメリカ出身のジェイドがドイツのユニット、スウィートボックスに参加したのは2001年の2ndアルバム『クラシファイド』の時からだ。彼女の加入により、スウィートボックスは、ダンスからポップへと大幅に音楽の方向性を転換することになった。それから約7年、昨年末にリリースされたベスト盤の大ヒットが実証するようにスウィートボックスは、高い人気を保ち続けた。そのユニットからジェイドが独立。ソロとして昨年10月にミニ・アルバム『ジェイド伝説再び~アウト・オブ・ザ・ボックス』をリリースしたが、続く新作『ビタースウィート・シンフォニー』が早くも届けられた。「2001年に私が加入してから、ことあるごとに“スウィートボックスってあなたひとりだけなの?”という質問をされてきた。そのたびに同じように混乱している人が多いんだろうなと思ってきたので、スウィートボックスの名前から離れることを決心したの。だから、脱退という感じじゃないのよね。プロデューサーは同じGEOだし、彼と全曲を共作しているので、音楽的には何も変わっていないわ」確かに混乱している人はいたかもしれない。でも、7年間に築いた実績は大きい。そんなにあっさりと名前を捨てられるものなのだろうか。「後悔はないわ。ジェイドで活動する方がずっとシンプルだもの。それにジェイドのアルバムと、スウィートボックスのベスト盤が同時にチャートインしているのを見た時は、名前が違っても両方に自分が関わっていることを誇りに思えたの、素直にね。それで十分よ」・・・。 - 安藤裕子
安藤裕子のニュー・シングル「パラレル」は疾走感、開放感あふれるナンバーなのだが、ただ気持ちいいだけの作品ではない。悲しみを振り切っていくパワーとタフな意志も伝わってくる。これは彼女のシンガーとしての表現力の豊かさを堪能できる作品でもある。 ――「パラレル」はどんなきっかけから生まれた曲なのですか?「バラード続きだったから、そろそろ弾けたいな、明るいものをやりたいなと思ったんですけど、ただ明るいだけじゃつまらないので、コードは練って、ひねって作ろうと。その分だけ、歌はシンプルに裸に近い状態で突き抜けるということをイメージしました」 ――確かに突き抜けた爽快感を感じました。「レコーディングでは佐野康夫さん、沖山優司さんというリズム隊を迎えて、動きながら歌ったので、気持ち良かったですね」 ――明るさの背後から悲しみがにじんでくるところも深みがあって魅力的ですね「Dメロがその起点にあるのかもしれない。混沌とした暗い空間から飛び出していくイメージがあったんですよ。弦のラインも不協和音に近い感じで作っていて、迷子感が出るといいなと。サビのコーラスの裏メロもかなり作り込んでいて、明るいポップスなんだけど、ちょっとない感じになったと思います」 ――歌とリズムとが併走していく感触もあって、そのあたりではタイトルの「パラレル」とも繋がってきそうですね。「曲の名前って、意味がなくて、感覚なんですよ。作った時に“この子は太郎ね”っていう感じで『パラレル』とつけて、意味は後からついてくるという。でも確かにこの曲はみんなで併走していく感じはありますね」・・・。 - FLOW
昨年4月からバンド史上最長のツアー“FLOW LIVE TOUR 2007-2008「アイル」”を敢行中のFLOW。前回のツアー「キズナファクトリー」でメンバーが“重ねていくこと”の大切さを実感し、観客一人一人としっかり向き合って、体温を感じられるようなライヴをしたいという思いから、このツアーを決めたという。彼らは、このツアーを全速力で走り続けながら新曲を発表してきた。ロストラブをテーマにした哀愁漂うラテン・ロック「冬の雨音」や、レーベルメイト・HOME MADE 家族とのコラボによるダンサブルなアッパー・チューン「NIGHT PARADE」、自分を支えてくれた人々への感謝の気持ちをゆっくりと確かめるように歌い上げる感動のバラード「ありがとう」など、リリースされた楽曲からは、パワフルな青春パンクのイメージから脱却し、ミクスチャーロック的アプローチと、ツアーで吸収してきたバンドの一体感をそのまま反映させたようなサウンドを聴くことができた。・・・。