2008年5月号内容

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                                                                      最新号 2008年5月号  

 

                                                    

 

 

  1. A Fine Frenzy
    「ラヴフール」のカーディガンズ、「キス・ミー」のシックス・ペンス・ノン・ザ・リッチャー…。可憐な女性ボーカルのポップ・バンドの系譜に、新たな名前が加わった。それがこのファイン・フレンジーである。バンドが奏でる叙情的な音楽は、都会の喧騒の中にひとときの幻を浮かび上がらせる。シンガー兼ピアニストであるフロント・ガールのアリソン・シドルは、早熟な感性の持ち主。離婚した両親を持つ一人っ子で、音楽を慰めとしていたアリソンの対象はエラ・フィッツジェラルドからビョーク、モータウンからレディオヘッドと幅広い・・・。
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  3. ASHLEE SIMPSON
    昨今、“小悪魔カワイイ”という新しい概念が女性誌を中心に盛り上がっている。具体的には自由奔放で大胆不敵、放っておけない魅力をふりまく女の子の特性のことであるが、アシュリー・シンプソンはまさにそれを体現している女の子だろう。ジェシカ・シンプソンの妹として、鳴り物入りでデビューしたアシュリー。「姉と私は違う!」と本来のブロンドを真っ黒に染め、サウンドもロックを志向。一躍トップ・スターの仲間入りを果たすも、テレビ番組の生放送で口パクが発覚するというアクシデントに見舞われてしまう。アーティスト生命を脅かすほどの危機。しかしアシュリーは強かった。激しいバッシングにさらされながらも、あっけらかんと活動を続けたのである。この“あっけらかん”というのは、実は一番難しい。後に自らこの出来事をパロディして笑いをとるなど、見た目よりもずっとタフであることを印象付けた。この後も、深夜のマクドナルドで大暴れしたり、整形手術疑惑が持ち上がるなど、スキャンダルの絶えないアシュリー。しかしむしろ彼女はそれを楽しんでいるようですらある。そして一方で人気ミュージカル『シカゴ』に主演して好評を博すなど、着々とキャリアを積んでいるのである・・・。
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  5. CAJUN DANCE PARTY
    依然、止まるところを知らないUKにおける空前のバンド・ラッシュ。もはやヒット・チャートの上位がロック・バンドに独占されることも珍しくなくなったが、昨今は登場して来るバンドの層もグッと厚くなり、バンドの年齢自体も圧倒的に若くなった。もはや“20歳前後”では若さを売りに出来なくなってきた。だが、そんな中でもさすがにこのバンドの登場だけは驚きを禁じ得ない。そのバンドの名は、ケイジャン・ダンス・パーティ!ストロークスやレイザ-ライトを彷彿とさせるシャープなギター・サウンドに、田園風景を感じさせるオーガニックで叙情的なストリングス、そして、かのレディオヘッドをも思わせるスケール感の大きなドラマティックな曲展開。このサウンドだけを聴いても充分に注目に値するバンドであるのだが、この音がまだわずか17歳の少年少女たちから奏でられているというから衝撃だ! 17歳という年齢なら、普通ならせいぜいありあまる初期衝動を拙い演奏で吐き出してそれで終わり、というのがセオリーというものだが、それがいきなりここまでの存在感で自分達の世界観を聴かせることができるのだから・・・。
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  7. DIANNE REEVES
    現代ジャズ・ヴォーカル界に君臨するエレガントな女王, ダイアン・リーヴス。2006年(日本公開)の映画《グッドナイト&グッドラック》には1950年代の歌手という設定で出演して歌声を披露し、監督,ジョージ・クルーニーが選曲したスタンダード・ナンバーを歌ったサントラも(高く評価され)人気を集めた。そんな彼女の最新盤は前作(サントラ)とは一転して、コンテンポラリーなテイストに溢れた1枚。ビリー・ホリディ、サラ・ヴォーンら、偉大な黒人女性ヴォーカリストに繋がる伝統的な“香り”を漂わせながらも、視野の広いアプローチで綴った、往年のジャズ・ファンはもちろんのこと、若い世代のリスナーの心をも捉える充実作だ。オープナーのモータウン・ナンバー「はかない想い」(ザ・テンプテーションズ,1971年のヒット曲)のカヴァーからして、夜更けの重苦しい“ジャズ的世界”とは無縁の軽やかさ。ホメロ・ルバンボのブラジリアンな生ギターとラッセル・マローンのエレクトリック・ギターによる伴奏もかなり心地よい(この2本のギターは収録曲の殆どに起用されており、全体のムードを決定づけている)。また、ミニー・リパートン,1975年の全米No.1ヒット「ラヴィン・ユー」も本作の聴き所のひとつ。誰もが知っているあの高音部を見事にきめつつも、オリジナルとは別の輝きを放っている・・・。
  8. ILLUMINA
    イルミナはオーディションによって選出された麗しい歌姫たちのユニット。3人とも名門大学で声楽を専攻した本格派で、日本デビュー・アルバム『ファースト』でも韓国ポップスを中心に、ジャズやボサノヴァの要素をミックスした多彩なサウンドをバックにした、オペラ・マナーの美しい歌唱を披露・・・。
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  10. LEONA LEWIS
    UKに視聴者1千万人を誇る人気オーディション番組「The X-Factor」がある。日本で放映中の「アメリカン・アイドル」と同じサイモン・コーウェルが審査員を務めている。その番組で2006年の覇者となったのがレオナ・ルイス、23歳だ。抜群の歌唱力で「サマータイム」などを熱唱し、審査員のみならず、視聴者からも圧倒的な支持を受けた彼女が、昨年10月に本国で正式にデビュー。1stシングル「ブリーディング・ラヴ」と、アルバム『スピリット』がともに全英チャートで7週連続1位の大ヒットとなった。「私は『The X-Factor』に挑戦した時も、第1次審査で落ちるだろうと思っていたくらい。それが優勝して、さらにシングルやアルバムが1位になるなんて信じられなかった」さらにすごいことに、ライアン・テッダーがレオナに提供したシングル「ブリーディング・ラヴ」が4月5日付全米チャートで1位を獲得。全英と全米を制覇したわけで、UK 出身の女性シンガーがデビュー曲で全米1位になったのは 21年ぶりの快挙である。「私はロンドン出身の普通の女の子。それが巨大なマーケットを誇るアメリカでトップに立つなんて信じられない。圧倒されるわ。今はあらゆる文化に触れられるチャンスを手に入れた、という事実を消化しようとしているところ。でも、とにかく子供の頃からのシンガーになるという夢が叶ったのだから、嬉しいわ」レオナは、音楽に囲まれた環境で育った。6歳から音楽をパフォーミング・アーツ・スクールで学び、10代になると、エイミー・ワインハウスら優れたアーティストを大勢輩出しているブリット・スクールに入学している・・・。
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  12. MADONNA
    これで50歳!それも信じられないが、その半分のこの25 年において、ここまで音楽シーンの前線に攻撃的な姿勢を保ちながら君臨した存在がいるだろうか。女王マドンナの他に…。先日、彼女は見事にロックの殿堂、“ロックンロール・ホール・オブ・フェイム”入りを果たした。「ダンス・ミュージックを軸に音楽を展開しているわけだから、ロックじゃなくてポップだろ」。そんな声も飛ばなかったわけではない。だが、そんな頭の堅いことを言いがちな、良識派ぶった一部のアーティストには決して提示することが出来なかった、その時代その時代における“戦う女”としての主張。時代の数歩先を読み続ける“ポップ・ミュージックの担い手”としての潔癖なまでの責任感。これを四半世紀の長きに渡り、創造性の枯渇も、セレブリティ・ライフに由来する堕落も、パパラッチへの脅迫観念から生じる精神破壊も、一切周囲に感じさせることなく、彼女は一貫して通し続けた。しかも常に先頭ランナーとして。それは彼女と共に“80 年代ビッグ3”と呼ばれた同い年のマイケル・ジャクソンやプリンスにさえ出来なかった偉業。いや、あのエルヴィスや、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズにしたって、ヒットメイカー(とりわけシングル曲)としては彼女ほど長寿ではなかった。そう冷静に考えると、長いポップ・ミュージックの歴史の中で、マドンナがいかに重要な存在であるのか。あらためて認識出来ることだろう・・・。
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  14. MARIAH CAREY
    「E=MC2」。この公式に馴染みのある人は日本だとよほどのインテリだが、これ、海外では誰でも知っている数式なのだとのこと。これが意味するところ。それはズバリ、「アインシュタインの相対性理論」である。つまり、マライアは今回のアルバム・タイトルにベタなジョークで入った、というワケなのである。MCとはつまり“マライア・キャリー”の略。これ則ち「マライアが化学反応、起こしちゃった!」ということ。このネーミング・センスをめぐっては様々な意見はもちろんあるだろう。だが、それがどうであれ、“MC2”という言葉、これ自体に込められているマライアの強い気持ちと自信。これには素直に賛同できる。 “MC2”。つまり“マライア2枚目”。この場合の“MC1” はもちろん前作『MIMI』のこと。90年代最高のヒットメイカーを襲った5年近くにも渡る信じ難いほどの凋落ぶり。「もう、マライアは終わった」。そんな囁き声が大きくなる中、2005年、マライアはシンガーとしての“第2章”をジワリと歩むこととなった。あの彼女の象徴とも言えたスーパー・ハイトーン・シャウトを封印。やたらと元気すぎるアッパー・チューンやブロードウェイ趣味全開のシュガー・コーティングされた甘口バラードもなし。代わりにそこにあるのは、オーガニックで肉感的な温もりの強い、現代の大人たちのためのソウル・ミュージック。かつてのような声域を誇示する展開こそない。だが、抑えた声の表現の中に込められた感情吐露。これは90年代の最初の全盛期のどこにも見当たらないものだった。どんなに歌唱力があろうと、決してメアリー・J. ブライジほどには“ソウルフル”とは見なされず、ネ-ム・ヴァリューに頼った大物ラッパーとの共演が空回りしがちだったマライアだが、そんな演出に頼らずとも、感情のひとつひとつを丁寧に表現しさえすれば自ずと“魂”が伝わること。それをマライア、そしてリスナーたちは気が付いた。その結果が「ウィ・ビロング・トゥゲザー」がもたらした久々の長期に渡る全米 No.1ヒットであり、マライア初のグラミー賞多数部門ノミネートにまでつながったのだ・・・。
  15. PANIC AT THE DISCO
    メンバーが17歳の時に制作された1stアルバム『フィーバーは止まらない』から3年ぶりとなるパニック・アット・ザ・ディスコのニュー・アルバムは、予想を遥かに上回る革新的なサウンドに仕上がった!“パニック流ミュージカル・アルバム”と名打たれた本作は、全編ストリングス、ホーンセクションをフィーチャー。1stアルバムの前半はあまり気に入ってないと言っていた彼らは、次のアルバムは前作を締める楽曲「神を創造し、僕たちは話そう」のような方向性になるだろうと話していた。その答えがこのアルバムに詰まっている。ストリングスとメロディー・ラインのユニゾンが心地よい、壮大な雰囲気の「ウィー・アー・ソー・スターヴィング」で、のっけから引き込まれる。そして全世界的に大ヒット中の1stシングル「ナイン・イン・ジ・アフターヌーン~恋するタイミング」へと続き、完全にパニック・ファンタジーへとトリップしてしまう!・・・。
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  17. ROOM ELEVEN
    昨年、アルバム『ウィ・ラヴルーム・イレヴン』で日本盤デビューを果たし、たちまち音楽ファンを魅了してしまったオランダ出身の5人組、ルーム・イレヴン。今年2月に行なわれた初来日公演でも大成功を収めたばかりの彼女たちが、ニュー・アルバムをリリースする。タイトルの原題は『Mmm... Gumbo?』。ニューオリンズ名物の「ガンボ・スープ」が、アフリカ系とフランス系の伝統が米国南部の港街で融合して生まれたように、ルーム・イレヴンの音楽もまた、ボサノヴァ、フォーク、ブルース、ジャズそしてポップスと、様々な素材を混ぜて煮込んだ独自のスタイルを持つ…なんて紹介されると、とてつもなく“シビア”なバンドのように思われそうだけど、もちろんそうじゃない。ヴォーカルのヤナ・スクラとギタリストのアリエン・モーレマを中心に集結したメンバーは、共に作曲し演奏できる同じ趣味を持った仲間たち。紅一点のヤナが持つガーリィーな魅力を全面に出しつつも、ノスタルジックでメランコリーをたたえたサウンドは、あくまでもキャッチー。バンドの雰囲気そのもののようなフレンドリーなムードで、どこかパーソナルな歌詞をさらりと心のひだに届けてくれる・・・。
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  19. STORY OF THE YEAR
    マドンナが設立したレーベル《マーヴェリック》より「リンキン・パーク、ユーズドに続く大物ロック・バンド」として、04年颯爽とデビューしたSTORY OF THE YEARが《エピタフ》へ電撃移籍! そんなSOTYの2年半ぶりの3rdアルバムは、一度聴いたら忘れられないメロディーと強烈なフックのあるリフを合わせ持つ、バンド史上最高傑作に仕上がった。何にもとらわれない、自由なアプローチで取り組みたいと考えていた彼らが作り上げた、バラエティーに富んだ楽曲たち。一曲一曲が強力な個性を放つこのアルバムは、麻薬的な中毒性で全ロック・ファンに襲い掛かるだろう!繊細なアルペジオから始まり、力強くも叙情感たっぷりに歌いあげる「Wake Up」とバンド初の純粋なバラード・ナンバー「Terrified」では、戦争の無意味さについて書いている・・・。
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  21. THE KOOKS
    いまいち日本には伝わり切っていないが、本国イギリスでクークスは国民的なロック・バンドのひとつと言っていいポジションを獲得している。06年のデビュー作『インサイド・イン/インサイド・アウト』は、なんと現在までに200万枚のセールスを記録。同世代のバンドと較べてみても、あのアークティック・モンキーズに決して引けを取らない売り上げだ。そんな彼らの人気の秘密は、やはり60年代のロック黄金期を髣髴とさせる正統派のバンド演奏と、若い男女の恋愛関係を哀しくも可笑しく綴ったユーモラスな歌詞だろう。十代の少年少女から、 60年代の青春を過ごした彼らの親の世代まで、幅広い層からのアクセスが可能な彼らの音楽は、まさに“国民的”という名が相応しい普遍性を持っている・・・。
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  23. The Last Shadow Puppets
    イギリス国内の数々の記録を破りまくったあの破格のデビューから2年。アークティック・モンキーズの絶対的フロントマン、アレックス・ターナーがなんとソロ・プロジェクトをスタートだ。デビューからこんなにも早くソロを発表するアーティストというのもほとんど記憶にないが、これが意味するものは、アレックスのクリエイティヴィティが尽きることなく、澱みなく溢れ出ているということだ。そして今回、アレックスとコンビを組んだのはマイケル・ケイン。かつてリトル・フレイムスの中心人物として活躍し、現在はラスカルズというバンドを率いているアレックスと同世代の男。アレックスは自らの才能のみならず、このマイケルの潜在能力を引き出すべくコラボレーション(レコーディングにかけた期間はわずか2週間!)。その結果生まれたものは、既存のどのバンドも表現し得ない世界観だった・・・。
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  25. WHAT'S UP?
    2003年の第1弾リリース以来、年に1枚ずつリリースされてきた『ワッツ・アップ?』。前年のヒットや話題作を中心に、今年のヒット曲の早出し収録からクラシックまで、まさに“グレイテスト・ヒッツ”の名に恥じない選曲でガイドブック的な役割を果たしてきたシリーズだ。特に、アルバム単位での日本発売が見送られることが多いこのジャンルでは、こういったコンピレーション・アルバムは本当に重宝するのだ。CD2枚を“ F o r Clubin'”(ダンス系)と“For Chillin'”(泣ける系)に分けて全38 曲を収録。これは本当にお買い得だ。聴き所をざっと紹介する。発売されたばかりのジャネットの最新作から「フィードバック」を早くも収録! 同日発売のアルバムの売り上げ合戦で話題になったカニエ・ウエストと50セント、リングトーンのダウンロードでも大ヒットしたソウルジャ・ボーイ「クリンク・ザット」、“ロックスターもの”で大ヒットを飛ばした新人のショップ・ボーイズあたりは外せない。現時点ではシングルのみのイヴ、ニコール、ブリック&レイスは、アルバムまで待てないという人は要チェック。クラシックものでは、今年になってチャーリーがリメイクしたMCライトの「アイス・クリーム・ドリーム」のオリジナルに注目したい・・・。
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