最新号 2008年3月号

- THE BLACK CROWES
「ロックン・ロール・リヴァイヴァル」。そんな言葉 がメディアを賑わせた時があった。今から5~6年前の話 だ。ザ・ホワイト・ストライプスやザ・ストロークスと 言ったバンドたちは、安易にテクノロジーに頼り切る姿 勢ではなく、これまであったロックをもう一度工夫し見 つめ直すことで、ロックンロールそのものをクリエイテ ィヴかつエネルギッシュに甦らせることに成功し、結果 的にそれが2000年代のロックの型を築いた。こうした彼 らの功績はロック史上に刻まれるほど偉大である。だが、 ザ・ホワイト・ストライプスやザ・ストロークスが存在 するずっと以前から、同様の姿勢を取り続けているバン ドがいたことを忘れてはいけない。そのバンドこそ、ク リス&リッチ・ロビンソン兄弟率いるザ・ブラック・ク ロウズだ・・・。 - Morrissey
リバティーンズ、フランツ・フェルディナンド、アークティ ック・モンキーズ…。彼らのような新世代の台頭も事件だ ったが、2000年代のUKインディ・ロック・シーンにおいて、 この男の復活を見逃してはいけない。その男の名はモリッ シー。80年代に疎外感や絶望を文学的な言葉で歌い、一 躍時代の裏カリスマになった、あのザ・スミスのフロントマ ン。90年代以降はスミスの威光との戦いに苦戦し、長きに 渡る活動休止も体験した彼。だが、ザ・スミスの特異な世 界観が再評価されはじめた2004年、モリシーは自信を完全 に回復。衰えを知らない唯一無二のゆらめく美声に歯に衣 着せぬ鋭い言説、そして自らの濃いキャラを茶化しはじめ たユーモアが受け入れられ、以降彼はキャリア史上最高と も言えるヒットを40代後半にして獲得していった。・・・。 - JANET
世にたくさんの大物アーティストがいるがファースト・ ネームだけで世界のどこでも通じてしまう人は実はとても 少ない。やはり一番は「マイケル」だろうか。もしくは 「スティーヴィー」? かつては「ジョン」や「マーヴィン」 という人もいた。「プリンス」や「マドンナ」はもともと 本名の響きが特徴的なのでちょっと違うように思える。 「ビヨンセ」は新世代のスターだけれど、認知という点で はファンの世代層が若い方にかたよるだろう。「メアリー」 はやはり“R&B、ソウルの”という前置きがあってほしい ではないか。そんなふうに考えていくと「ジャネット」と いう存在がとんでもなく大きなものだということがわかっ てくる。ジャネットは80年代の後半からずっと第一級のス ターであり、R&Bやブラック・ミュージックという枠を 超え、性別や年齢を問わずオーディエンスを魅了し続ける 不世出の存在なのである。そのジャネットが約2年ぶりの ニュー・アルバム『ディシプリン』をいよいよリリースす る。畢竟のポップ・アイコンがここでどう動きだすのか、 大きな注目を集めているところだ。・・・。 - NORAH JONES
07年のカンヌ国際映画祭のオープニングを飾ったウォン・カー ウァイ監督の最新作がついに日本上陸。『マイ・ブルーベリー・ナイ ツ』は監督にとって初の英語作品であり、主演にグラミー賞8冠の 栄誉に輝くノラ・ジョーンズを起用したことで、公開前から既に大 きな話題を呼んでいる。 ノラが演じるエリザベスは、失恋の痛手を抱えて旅立った女性。 アメリカ大陸を横断し、途中で出会った様々な人々と関わること で自分をみつめ直し、その気持ちをハガキに綴る。宛先はニュー ヨークでカフェを経営するジェレミー(ジュード・ロウ)。彼の店で食 べた甘酸っぱいブルーベリー・パイの味を懐かしみながら…。・・・。 - SKYE SWEETNAM
2004年、スカイ・スウィートナムの日本デビュー・ライヴを目 撃したときの衝撃はいまだに忘れられない。真っ白な肌にブル ネットのロングヘア、ぽってりした唇という容姿はお人形その ものなのに、ステージに現れるなり弾けんばかりに飛び跳ねて、 体中でパフォーマンスするそのパワーに圧倒されたものであ る。そもそもスカイは単なるミュージシャンではない。作詞作 曲は当然のこと、イラストを描き、洋服をリメイクし、挙句たっ たひとりでミュージック・ビデオまで撮ってしまう(それをきっ かけにレコード契約が成立したという素晴らしい出来!)マル チ・クリエイティヴ精神は当時から顕著であり、他の“ポスト・ アヴリル群”とは異種の空気を感じさせるのに充分だった。フ リルのワンピースにごついブーツを合わせる独自のセンスか らもわかる通り、わずか16歳にして彼女は完全に自分の世界を 確立していたのである。・・・。 - Tristan Prettyman
ゆったりと波打つアコースティックなギターの音色に、潮風 のごとく心地よい歌声がゆらめく。歌声の持ち主は、ちょっぴ りシャイでキュートな23歳のサーフ・ガール…。2005年に発表 されたトリスタン・プリティマンのデビュー・アルバム『トゥエ ンティスリー』が、大掛かりなプロモーションがなくとも口コミ でファンを増やし、国内だけで10万枚を売り上げた秘密はそ こにある。自然体で、リラックスしていて、ピュア。語りかける ように、時には独り言のようにささやかれる恋や日常のストー リーは、軽やかな親しみをまとって、そっとこちらの胸に響く。 そしてシンプルな音楽性は、そのまま彼女の強さをあらわして いる。何故なら装飾をはぎ取ればはぎ取るほど、人は生身の 自分で勝負しなければならなくなるから。それを気負いなくや れているのは、彼女が南カリフォルニア出身で、海と生活が密 接に繋がりあう中で生まれる音楽というものを自然と身に着 けていったからだろう。“サーフ・ロック”という呼び名が嫌味 にならないのも、ジャック・ジョンソンやG.ラヴといった実力 派アーティストに認められているのも、トリスタン・プリティマ ンという存在に嘘がないからなのである。・・・。 - SHAYNE WARD
世界的にタレント・オーディション番組が大流行している。そ の発端はアメリカの番組「アメリカン・アイドル」だろう。その番 組のイギリス版といえるのが「The X-Factor」。そして、この番 組からデビューし成功を手にしたのがシェイン・ワードだ。 地元イギリスでは2005年の暮れにシングル「That's My Goal」 でデビュー。このアダルトなバラードはUKチャートの1位を獲得、 アルバム『SHAYNE WARD』も大ヒットとなった。日本には本国か ら遅れること約1年、2006年11月に上陸。翌年には「That's My Goal」がノエビアのCM曲に使用され、まさに今が旬のタイミング。 そして、待望の2ndアルバム『Breathless』がリリースされる。 驚かされたのはそのサウンドだ。デビュー当時の印象はアダ ルトなバラードが得意なシンガー。しかし、アルバムで聴かれる サウンドはR&Bからレゲエ、エレクトロニカまで取り入れた旬 のポップ・ミュージックだった。現在23歳の彼は、もっと年相応 の音楽を求めていたということなのだろう。・・・。 - Delta Goodrem
アルバム売上げが100万枚突破!…こう聞いても、日本の感 覚だと「確かに凄いけど、スーパーヒットというほどではないの では?」と思うかもしれない。しかしオーストラリアなら話は別。 人口比で換算すると、日本の830万枚に相当し、なんと4軒に1 軒が持っている計算になるのだ。その歴史的偉業をデビュー・ アルバムで成し遂げてしまったのが、デルタ・グッドレム。女優 もこなす美貌を持つ、オーストラリア史上最大の歌姫である。し かも自身がソングライティングを手掛けるというのだから凄い。 幼いときからアーティストを志していたデルタ。女優としての キャリアを先にスタートさせたものの、そこで得たギャラはすべ てデモ・テープ作りに費やされたという。そんな情熱が実を結 び2002年に17歳でデビューした途端、みるみるうちに国民的な スターへと登りつめた。ピアノを基調にした美しいサウンドと、 感情のこもった歌声、そして前向きで誠実な歌詞は、誰の心に も届く普遍性を持っていたのである。だが人気の絶頂にいた彼 女を、突然の悲劇が襲う。なんとガンと診断され、厳しい闘病 生活を余儀なくされてしまったのである。約1年かけて無事病を 克服したデルタだが、死と向き合ったこの経験は、彼女の人生 観を一変させたという。・・・。 - Celine Dion
完全復活したセリーヌ・ディオンの来日に合わせて、日本企 画のベスト・アルバムのリリースが決定した。その名も『コン プリート・ベスト』。さらに、限定生産のCD2枚+DVD3枚のボ ックスセット『ULTIMATE BOX』、昨年リリースされた最新の フランス語アルバム『愛のうた』、2002年のアルバム『ア・ニ ュー・デイ・ハズ・カム』のレガシー・エディション(限定生産)、 サントラ盤『タイタニック』の完全版など、怒涛のリリースラッ シュが続く。ファンならば全部買いだろうが、どれか1つとい うことならば、やはり『コンプリート・ベスト』をおすすめした い。大ヒット曲はもちろん、映画の主題歌などどこかで聴い たことがある曲ばかりを詰め込んだ全17曲は、まさに“コンプ リート”と言うに相応しい・・・。 - SERGIO MENDES
ウィル・アイ・アムとの最強タッグによって、世界的大ブレイ クを実現したヒット・アルバム『タイムレス』から早くも2年。セ ルジオ・メンデスが、ふたたびウィル・アイ・アムとともに強力 作を発表した。しかも今回は、ボサ・ノヴァ生誕50周年を祝う 重要なアルバムである。業界歴40年以上の重鎮であるにもか かわらず、まったく“守り”に入ろうとしない姿勢には驚かされ るばかりだが、今回も『タイムレス』に勝るとも劣らない充実度。 まずはなんといっても強力なのが、“セルジオ・メンデス&ブラ ジル'66”名義で1967年にカヴァーしたことがある名曲「ルッ ク・オブ・ラヴ」の再演だ。・・・。 - PETE ROCK
ピート・ロック& CLスムース名義で、90年代ヒップホッ プ・クラシックスとして名高い『Mecca and the Soul Brother』、『The Main Ingredient』を生み出したDJであり、 同時にプロデューサーとしても数々の実績を残してきたピ ート・ロック。1998年以降はソロ・アーティストとしても 数々の秀作を残してきた彼が、いよいよ4年ぶりに動き始 めた。しかも今回のアルバム『NY's FINEST』は、その名 のとおり東海岸ヒップホップの底力をストレートに表現し た、これまでにないほどのインパクトが備わった仕上がり だ。シーンではここしばらくは西海岸(ウェッサイ)がクロ ーズアップされがちだったけど、やっぱりヒップホップの 本質は東海岸ニューヨーク・・・。 - Ringo Starr
昨年ポール・マッカートニーから久々の傑作が届いたの も記憶に新しいが、今年は言わずと知れたビートルズの元 ドラマー、リンゴ・スターが“話題の”新作を送り出す。こ のアルバム、なぜ話題かと言うと、なんとリンゴがビート ルズ時代の思い出を綴った自叙伝的な曲がメインとなっ ているからである。タイトル(原題)はそれに合わせてか、 リンゴが以前住んでいた区域の名前を冠して『Liverpool 8』。しかも本作は、ビートルズ時代からの古巣である EMI/CAPITALに34年ぶりにカムバックして発売されるア ルバムだというのだから、ビートルズ・ファンにとっては 堪えられないだろう。・・・。 - SARAH BRIGHTMAN
06年リリースのベスト・アルバム『輝けるディーヴァ~ベス ト・オブ・サラ・ブライトマン~』が大ヒットを記録し、ここ日本 における人気をさらに加速させたサラ・ブライトマンから、待 望のニュー・アルバム『神々のシンフォニー』が届けられた。 クラシカル・クロスオーヴァーの先駆者として、これまでも 様々な音楽スタイルを融合してきたサラ。新作でもその創造性 は健在で、多彩なエレメントを共鳴させつつハーモニーを重ね ている。「嘆きの天使」のようなドラマティックでロック的なナ ンバーと、「シンフォニー」や「サンヴィーン」のような神々しい “聖歌”が見事に同居した、真に多面的な音楽風景。それは彼 女だけが映し出せるファンタジー。さらには、佳曲に新たな生 命を与える、魔法のようなカヴァーの数々。マスカーニのオペ ラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》の名旋律をもとにした「ア テッサ」、マーラーの名曲をドイツ語で歌った「アダージェット」 といったクラシカル楽曲はもとより、本作ではフェイス・ヒル の「永遠に愛されて~パール・ハーバー愛のテーマ」をイタリ アの人気テノール歌手、アレッサンドロ・サフィナと(イタリア 語で)感動的に歌いあげている。・・・。 - US5
バックストリート・ボーイズ、インシンクを育てた辣腕プロデュ ーサー、ルイス・J・パールマンが新たに手掛けるボーイズ・グル ープ、US5(アス・ファイブ)。歌よし、踊りよし、ビジュアルよし という王道ボーイズ・グループの要素を全て満たす彼らの全米デ ビュー・シングル「Maria」は、ビルボード・チャート6位、ドイツで4 週連続1位を獲得。ドイツに活動拠点を移した後リリースしたシン グルもすべてトップ5入りし、新人賞を総ナメという人気ぶりだ・・・。