2008年2月号内容         

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                                                                      最新号 2008年2月号  

 

                                                    

 

 

  1. ジャック・ジョンソン   サーファー、フィルム・メーカー、レーベル・オーナー、プロデューサー、そしてミュージシャン。様々な顔を併せ持つ才人でありながらも、決して高尚で近づき難い印象は与えず、いつも等身大で心暖まる作品を届けてくれる人物と言えば、このジャック・ジョンソンを置いて他にいないだろう。彼から届いた約3年ぶり4枚目となるオリジナル・アルバム『スリープ・スルー・ザ・スタティック』のテーマは、“子作り、子育て、子供の将来の世界など”について。これを聞いただけでも、まるで日記でも付けているかのように自身の生活を歌へと転化してく、いつものジャック・ジョンソンが帰ってきた、とファンならば嬉しくなってしまうに違いない。いわゆるサーフ・ミュージックとして広く世に広まった彼の音楽は、アコースティック・ギターを主体とした弾き語りに、ヒップホップから影響を受けたドラムや、レゲエのリズムを意識したベースを加えるなどした折衷的なもの。ハワイの伝統的な音楽からの影響を感じさせながらも、ただそれをなぞるだけではなく、独自の感性でひとひねりを加えたサウンドは玄人筋からも評価が高い。しかし、彼の音楽が持つ一番の魅力を挙げるとすれば、それは“飾らない素直さ”に尽きるのではないだろうか・・・。
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  3. シェリル・クロウ   93年のデビュー以降、シェリル・クロウは常に第一線を走り続けてきた。デビュー・アルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』がいきなり700万枚のビッグ・セールスを記録。グラミー賞で最優秀レコード賞、最優秀新人賞、最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞の3部門を獲得する快挙を成し遂げた。続くセカンド・アルバム、サード・アルバムもすべてグラミー賞に輝き、実力派アーティストとしての座を確固たるものにする。デビュー前にエリック・クラプトンなどへ楽曲を提供したり、マイケル・ジャクソンのバッキング・ボーカルを務めただけあって、著名なアーティストからの信頼は厚く、また一方で現在のミシェル・ブランチやアヴリル・ラヴィーンなどの女性シンガー・ソングライターの先達的存在として、若手との交流も盛ん。全世界でのトータル・セールスは 4,000万枚以上、まさにポップ・シーンを代表するアーティストとして、精力的に活動してきたのである。ところが、そんなシェリルに転機が訪れる。2005年に前作『ワイルドフラワー』を発表した後、プライベートで次々と重大な問題が・・・。
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  5. レニー・クラヴィッツ   昨年の大ヒット映画『デスノート』で重要な役割を果たした“L”を主人公にしたスピンオフ作品『L change the WorLd』がいよいよ劇場公開される。本編が社会現象になるほどの話題作となっただけに、今回もぜひチェックしたいところだ。そして、なんとその主題歌をレニー・クラヴィッツが担当しているというのだから、音楽的な側面から考えても見逃すわけにはいかないのである。彼の曲が映像とどうリンクしているかは見ものだし、「世界的にヒットしている映画の主題歌に俺のニュー・シングルが使われると聞いて、とても嬉しく思っているよ」と本人もお気に入りの様子。この号が出るころには、『L change the WorLd』とともに大きくブレイクしていることはまず確実だろう。そしてもちろんその曲「アイル・ビー・ウェイティング」は、音楽的にも高い評価を受けてしかるべき完成度の高さだ。悲しげなピアノ・フレーズに重たいビートとヴォーカルが絡み、ドラマティックな展開へとつながっていく、いかにも彼らしい、彼にしか表現できない楽曲だといえる・・・。
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  7. シール   シールは作品にセルフタイトルをよくつけるが、その3作目となった『SEAL Ⅳ』が03年のリリースだから、実に4年ぶりの新作になる。ただその間にはスーパーモデルのハイジ・クラムと結婚というニュースがあり、弟のジェイムス・サミュエルのデビューという出来事もあった。またトレヴァー・ホーンの活動 25周年コンサートへの出演とか、生音ヴァージョンでの再録を含むベスト盤の制作もあって、不在感みたいなものはそう感じられなかったと思う。だいたいグラミーを穫って以降のシールは大物らしい余裕が印象的で、それはUKでもっとも幅広い人気を誇る黒人アーティストとしてポップからソウル、アダルト・コンテンポラリー的なところまで、広い表現の幅を持つこの人らしい個性と連結していると思う。そんなシールが満を持して放つ“ダンス・アルバム”がこの『システム』だ。もっとも、シールの出発点は90年代はじめのアシッド・ハウスにあるから、クラブ的なサウンドとは元来近いところにいる。かつてはその尖った感覚をトレヴァー・ホーンが絶妙なプロデュース・ワークで洗練させ・・・。
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  9. エアボーン   ハードにドライヴするギター・リフと、鼓膜を突き刺すハイトーン・ヴォイスのシャウトに酔いしれたければ、今すぐこのエアボーンを聴けばいい。これぞまさに、AC/DCから連綿と続くオージー・ロックの系譜。エアボーンのデビュー作『ランニン・ワイルド』は、オージー・ロックの伝統の末端に名を連ねるべく登場した、由緒正しきアルバムである。彼らの運命は、リード・ギター兼ヴォーカルのジョエル・オキーフが9歳のときから決まっていた。オーストラリアの田舎町ウォーナンブールにて生まれ育った彼は、当時からAC/DCなどの“正統派のオージー・パブ・ロック”を聴いて育ったと言う。しかし、そんな彼の趣味が、現在の音楽シーンの中で少数派なのは明白である。ラウド・ロックやポップ・エモが世界的に高い人気を誇る今、“正統派”はともすれば“回顧的”とも見なされかねない。実際、その手の批判に晒されることも少なくなかったようだが、彼らは学生時代から学校生活との掛け持ちでオーストラリア中をライブして回るという過酷な生活を続け、少しずつ批判的な見方をねじ伏せていった。そう、“正統派”とは “回顧的”なのではなく、普遍的な魅力を継承する存在なのだと証明してみせたのである・・・。
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  11. シンプル・プラン   今や世界で大ブレイクしているカナダ出身のシンプル・プラン。最初にヒットしたのが日本ということもあってか、親日家として知られている。単独での来日もしているが、アヴリル・ラヴィーンのサポート・アクトを務めたことで知った人もいるだろう。そして、全世界で300万枚以上の売り上げを記録した前作『スティル・ノット・ゲット・エニィ』から3年と少し、3枚目のスタジオアルバムのリリースが決定した。その名も『シンプル・プラン3』。まさにシンプルそのもののタイトルだが、アーティスト名を冠したタイトルを付けるときは、たいていの場合、マイルストーン(記念碑)的な意味合いを込めてつける場合が多い。今作では複数のプロデューサーを迎えているのだが、この人選がなかなか面白い。エヴァネッセンス等を手がけたデイヴ・フォートマン、T.I.やジャスティン・ティンバーレイクなどを手がけたネイト“デンジャハンズ”ヒルズ、アヴリル・ラヴィーン、ジェイムス・ブラント、ケリー・クラークソンなどを手がけた・・・。
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  13. ココナッツ・レコーズ   映画『マリー・アントワネット』のルイ16世役や『天才マックスの世界』のマックス役で名を馳せたコメディ俳優で、叔父にフランシス・コッポラ、従兄弟にソフィア・コッポラを持つコッポラ・ファミリーとしても知られるジェイソン・シュワルツマンがソロ・プロジェクト・アルバムを発表した。なぜに俳優が音楽を? セレブの余興? そんな疑念もあるかもしれないが、何を隠そう彼、ここ日本でも人気の高いUS パワー・ポップ・バンド、ファントム・プラネットのオリジナル・ドラマー。一級のミュージシャンでもあるのだ。そんな彼が紡ぎ上げるメロウ&ラヴリーなメロディや、おもちゃ箱をひっくり返したようなローファイ感覚あふれる音作りは、声も含めてベン・クウェラーを彷彿させる。つまり、かなりの才能ってこと。キルステン・ダンストやインキュバスのブレンダン・ボイド、ファントム・プラネットのサム・ファラーらゲストも多彩な全12曲、ポップ通を自認するなら避けては通れないだろう・・・。
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  15. リバティーンズ   「そう言えば、たった3年しかなかったのか」。今さら、しみじみそう思う。だが、その3年という短い月日がなかったら、UKインディ・ロックが今日のような繁栄を築くことも、いや、それ以前に、一時期の停滞から息を吹き返すこともなかっただろう。ピート・ドハーティとカール・バラー。この2人の迷コンビによる行方知らずの航海の旅。これこそが2000年代ロックンロールの礎だったのだ。整理・制御一切不要の生々し過ぎる不安定な演奏に乗って語られる、誰もが共有可能なセンシティヴなロマンチシズム。情けなくも愛さずにはいられない、予測一切不能なトホホな奇行の数々。そこにはショウビズが大量生産して作り上げた既製品とは明らかに違う、市井の本音に基づいた手作りの本当の“パンク”があった。だから誰もが共感し、ギターに手を伸ばすことにもなったのだ。この愛すべきろくでなしたちの名曲の効力。それはひと世代程度では終わらないはずだ・・・。
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  17. M!NK   渋谷の風景に始まり、日本人の観客、料理コーナー、至る所に日本語の文字やテロップ、おまけにドラえもんのギター。まるっきり日本のテレビのバラエティー番組。君はもう、M!NKというバンドのデビュー曲「Talk To Me」のPVを見たか!? 2006年にニューヨークで結成されたM!NKは、あっという間にデビューが決定した注目のバンドだ。デビュー・アルバムのタイトルはなんと『ミンクの叫び』。プロデューサーはレッチリやTOOLなどを手がけたシルヴィア・メッシー。バンドは3週間で30曲を作りレコーディングに臨んだというが、その勢いは音にも表れている。ポップでパンクでこいつら勢いだけで生きてるんじゃないのか?と思わせるような活きの良さだが、それでいてバラエティに富んだ曲調やキャッチーなフックなどは、バンドの音楽的才能を感じさせる・・・。
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  19. BULLET FOR MY VALENTINE   “80年代”なるものが再び効力を持って来たのは、何もインディ・ロックやエレクトロの世界に限ったことではないのだな。いわゆる“メタルコア”と呼ばれるバンド群のサウンドを聴くにつけ、そう思う。90年代という時代、大上段に構えて“メタル”を唱え、メタルらしい象徴(スピーディなギタ-・ソロ、哀愁溢れるメロディ)をふりかざすことは、どこか後ろめたいものがあった。だから、この時代、本当は心性的にはメタルであるにもかかわらず、その影響や愛を表面上ダイレクトには表現せず、ヒップホップやパンクの要素で味付けして表現していたものだった。だが、もはやニュー・メタル的な重低音のリフがありふれた音像となり、パンクが過剰プロデュースにより切れ味の薄い大味ロックになったその時、メタルは、しばらく表舞台で耳にしなかった新鮮さと、メタルという音楽が本来持っていた情念的な激しさという根本理念に立ち返ったことで蘇生。80年代後半のスラッシュ・メタルを思い起こさせるそのサウンドは、結局“メタル”というもの自体に偏見のない世代によって再発見され、現在“メタルコア“として認知されつつある・・・。
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  21. THE MARS VOLTA   “エモ”なんて呼ばれていたのも今は昔。今やそのエモーションが誰にも追いつけないレベルで炸裂し、“音楽による哲学”とも言うべき孤高の存在にさえなった観のあるマーズ・ヴォルタ。覚えにくい英単語を連発した歌詞や曲名に加え、アルバムがリリースされるたびに複雑かつ長大化して行くサウンド。そんな彼らの音楽性の進化を人は“現在のプログレ”と呼び、その姿勢は1970年代のピンク・フロイドやキング・クリムゾン、イエスなど、プログレッシヴ・ロックの黄金期を知る往年のロック・ファンの興味をもそそるに至っている。 そして、今回新たに放たれる通算4枚目となるアルバム・タイトルは『ゴリアテの混乱』。タイトルのインパクトから凄いが、曲名も「アバリンクラ」「メタトロン」「ワックス・シムラクラ」「アガデス」「アスキピオス」など、「もう、ほとんど暗号」なものがズラリと並ぶ。「ひょっとしたら、もうついて行くのも大変かも」と、彼らの筋金入りのファンの方もビビらせる飛ばしっぷりをこの時点から感じるが、ただ、音の方はロック本来の醍醐味を伝える激情的なハードロックがわかりやすい形で発展。「頭で考えるだけが進化じゃない」とばかりに繰り出す中毒的なリフやテクニカルでファンキーな変拍子の嵐。それは、やはりロックが「体が動いてこそナンボ」な存在であることをまざまざと伝えている。“知性”と“野性”のバランス具合で言えば、今回は過去最高ではないだろうか・・・。
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